HPLCカラムの上手な使い方 前編
HPLCカラムの上手な使い方 前編
液体クロマトグラフィー(HPLC)で使用されるカラムは、分離性能において極めて重要な役割を果たしています。HPLCカラムの特性を正しく理解し、適切な条件を設定しなければ、望ましい分離結果を得ることはできません。
ここでは、特によく使用される化学結合型シリカゲルカラムに焦点を当て、より優れた結果を得るためのノウハウを紹介いたします。「ピーク形状」「分離パターン」「保持・溶出」「感度」「寿命・耐久性」でお困りの方にオススメの内容です。
1. 良好なピーク形状を得るために…
クロマトグラフィーにおいては、一般的に検出されるピークはその幅が狭いほど良いと言えます。ピーク幅が広いと他の成分由来のピークと重なりやすくなり、定量が困難になる可能性が高まります。
また、一般的な検出器では目的成分の濃度とピーク面積値は比例関係にあるため、ピーク幅が狭いほどピーク高さが大きくなり感度面でも有利になります。
試料の吸着を解消する
注入した成分がカラムの充填剤等に吸着すると、ピークが崩れ、多くの場合には非対称な形状になります。
このような現象が起こった場合には、良好にエンドキャップされたカラムを使用する等の対処を行う必要があります。
(エンドキャップについては「分離パターンを変えるために…」の図2-5 を参照してください。)
代表的な原因1:静電的相互作用による吸着
充填剤表面に、シラノール基(SiO-)などのイオン性の官能基が存在していると静電的相互作用を引き起こすことがあります。
逆相系分析においてこの相互作用が生じると、ピーク形状を悪化させる可能性があります。
代表的な原因2:金属配位による吸着
充填剤母体のシリカゲルに金属が含まれていると、試料中に含まれる配位性化合物が吸着することがあります。
この吸着のために、目的成分がカラムから溶出せずピークが全く検出されないというケースもあります。
粒子径を小さくする
同じ種類のカラムでも充填剤の粒子径を小さくすると、分離性能が向上します。
ただし、粒子が細かくなるほど圧力が高くなりますので、お使いの装置やカラムの耐圧などを考慮して選定する必要があります。
流量をカラムの最適線速度に近づける
同じカラムであっても、流量を変えるとピーク形状は変化します。
カラムにはそれぞれ最適な流量があるので、なるべくその値に近くなるように測定条件を設定すると、カラムの持つ性能を発揮させることができます。
デッドボリュームを減らす
配管接続部等にデッドボリュームが存在する場合、その部分で注入されたサンプル溶液の拡散の原因になるため、ピーク形状が悪化します。
この現象は、配管の容積が大きい場合にも起こります。内径の細いカラムや短いカラムを使う時には特に影響を受けやすいので注意する必要があります。
デッドボリュームによる影響を少なくするためのテクニックの1つとして、長めのカラムを使うという方法があります。
図1-7 では2μm の長さ50 mm のカラムと3 μm の75 mm のカラムとを比較した結果を示しています。
この例のように、カラムを長くすることでデッドボリュームの影響が小さくなった結果、粒子径を大きくしても同等以上のピーク形状を得ることができています。
目的成分の大きさに合った細孔径を持つ粒子が充填されたカラムを使う
分子量が5,000 を超える成分などでは、細孔径の大きなカラムを使わないと良好なピーク形状が得られないことがあります。
こういった成分を分析する場合には、細孔径300 Å のInertsil WP300 C18などのカラムを使用することでピーク形状の改善が期待できます。
カラムからの溶出を早くする
一般的に、目的成分がインジェクターで注入されてから検出されるまでの時間が長くなるほどサンプルの拡散が起こりやすく、ピーク幅が広がる傾向にあります。
そのため、カラムからの溶出時間が短くなるように条件変更をすることで、感度が改善することがあります。
具体的には、1)保持の弱いカラムを使う、2)短いカラムに変更する、3)溶離液の組成を変更する、といった方法が挙げられます。
しかし、いずれの方法も分離が悪化する可能性があるため、注意が必要です。
試料を溶かす溶媒の組成を溶離液に近づける
注入する試料溶液の溶媒と溶離液の性質が異なる場合、ピーク形状が悪化することがあります。
特に、注入量が多い場合や、試料溶媒が移動相として働いた時に溶出力が溶離液よりも強い場合には、影響が大きくなります。
このような場合、試料溶媒や注入量の変更でピーク形状が改善します。
2. 分離パターンを変えるために…
目的成分のピークが他の成分由来のピークと重なると、正確な定量が困難となります。
このような場合には、分離パターンが変わるような操作を行うことで改善が期待できます。
また、公定法などに規定されている溶出順を実現できない場合においても、こちらで紹介する方法の一部が有効なことがあります。
溶離液のpH を変更する
目的成分もしくは夾雑成分がイオン性化合物の場合には、溶離液のpH がその保持時間に大きな影響を与えます。
イオン性化合物と非イオン性化合物の混合試料を分析した一例を図2-1 に示します。
また、図2-2 にあるように、イオン性化合物の保持時間はその解離定数(pKa)付近のpH で大きく変わるので、これを利用することで保持時間をある程度意図的に変化させることができます。
溶離液に使用する有機溶媒の種類を変更する
有機溶媒の種類を変えると、保持の強さだけでなく溶出順序も変化することがあります。例えば逆相系のカラムを使用している時には、通常はメタノールやアセトニトリルを有機溶媒として使用します。
しかし、このどちらでも充分に分離できなかった場合、テトラヒドロフラン(THF)や2- プロパノール(IPA)を使用することで分離が達成できることがあります。
有機溶媒種の変更については、「HPLC まめ知識②」も参照してください。
カラムの立体選択性の違いを利用する
主に逆相カラムの性質を示すパラメーターの1つとして、立体選択性というものがあります。
これは目的成分の3次元構造の違いをどれだけ保持時間に反映できるかを表し、一般的には充填剤表面に官能基が高密度に修飾しているほど優れた立体選択性を示します。
例えば同じODS カラムでも、立体選択性が大きく異なるカラムを使用しますと、分離パターンが変化することが多いです。詳細はInertsil ODS-P のページを参照してください。
なお、疎水性官能基が高密度に修飾されているカラムは水が多く含まれている溶離液での保持時間が不安定になることがありますので、その点には注意が必要です。
π電子による相互作用を利用する
ベンゼン環などのπ電子を有する官能基が結合したカラムを使用すると、ODS カラムなどで主に働く疎水性相互作用による保持だけでなく、π電子相互作用による保持も生まれます。
その結果、ODS カラムやC8 カラムなどのアルキル基が修飾されたカラムとは異なる分離パターンが得られることが多いです。
イオン反発をうまく利用する
エンドキャップをしていないカラムなどのように充填剤の粒子表面に電荷を有する官能基が存在する場合、静電的相互作用による反発が起こる場合があり、溶出が早まります。
3. もっと強く保持させたい場合は…
目的成分がカラムにほとんど保持しない条件では、標準試料の測定では問題がなくても実サンプルを分析した際に夾雑成分のピークと重なる可能性が非常に高いです。
ここでは、そのような場合の主な対処方法を、逆相モードのカラムを使用しているケースを中心にご紹介いたします。
溶離液の溶出力を弱くする
例えば逆相モードのカラムであれば、溶離液中の有機溶媒濃度を低くすると全体的に保持時間が長くなります。
アイソクラティック溶出の場合には、各成分の保持比(k’)が2 ~ 10 の範囲となるような溶媒組成とするのがお薦めです。
水100 % の溶離液を使用する
親水性が非常に高い化合物を分析する場合には、有機溶媒を加えずに水100 % 溶離液条件でODS カラムを使用すると上手く保持できることがあります。
ただし、ODS カラムの種類によっては水100 % の溶離条件では使用できないものもあるので注意してください。*
InertSustain AQ-C18 をはじめInertSustain C18、Inertsil ODS-3 など適切な化学結合処理を行っているカラムでは水100 % の溶離液条件でも問題なく使用することができます。
* : 水100 %かそれに近い溶離液をODSカラムに流すと、充填剤の細孔内から溶離液が抜け出る現象が起こることがあるため、一部のODSカラムではそのような溶離液条件において保持時間が不安定になることが知られています。
溶離液のpH を変更する
目的成分がイオン性化合物の場合には、溶離液のpH を変化させると保持時間が大きく変わります。
逆相モードの場合には、目的成分がイオンとならないようなpH の溶離液を使用すれば保持を強くすることができます(「分離パターンを変えるために…」の図2-2 も併せて参照してください)。
例えばアミノ基を有する塩基性化合物であれば、溶離液のpH をアルカリ性側に変更することで保持が強くなることが期待できます。
下のクロマトグラムはその応用例です。耐アルカリ性のODS カラムを使い、強い保持が見込める溶離液のpH を選択しています。
そして、保持が強くなった分だけ溶離液の有機溶媒濃度を高くしています。こうすることで、ほぼ同等の保持時間に溶出しながらLC/MS/MS での検出感度を改善することができています。
炭素量の大きなカラムを使用する
一般的に、炭素量の数値が大きいカラムであるほど、充填剤に官能基が高密度に修飾されています。
ODS カラムであれば、炭素量が多くなるほどシリカゲル表面にODS 基が多く存在することになり、疎水性相互作用がより強く働き保持時間が長くなります。
この炭素量による保持の変化は、特に疎水性成分において大きい傾向にあることが知られています。
表面積の大きな粒子が充填されているカラムを使用する
充填剤の表面積が大きいほど、保持のための相互作用が起こる場が増えることになるため、全体的な保持が強くなります。この表面積による保持の変化は、前項の炭素量による変化とは違い、ほぼ全ての成分に対して同じように働きます。
イオン対試薬を使用する
イオン性の成分は逆相モードのカラムにはほとんど保持しないことが多いです。
pH の調整により目的成分を非イオンの状態にすることが困難な場合には、イオン対試薬を含む溶離液を使用することで逆相カラムに保持させることが可能になります。
分離モードを変える
全く保持が見られないような場合には、別の分離モードに変えた方が良いケースがあります。
例えば逆相モードでは非常に極性の高い成分を保持することは困難であり、特に糖のようにイオン対試薬を使っても保持の改善が期待できないような場合では、逆相モードではなくHILIC モードやイオン交換モードなどで分析する必要があります。
4. もっと早く溶出させたい場合は…
目的成分がカラムからなかなか溶出しない条件では、分析時間が長くなりスループットが低下します。
ここでは、主にODS カラムを使用しているケースにおいて、分析時間を短縮するための方法をご紹介いたします。
溶離液の溶出力を強くする
例えば逆相モードのカラムであれば、溶離液中の有機溶媒濃度を高くすると全体的に保持時間が短くなります。(「もっと強く保持させたい場合は…」の図3-1 参照)
有機溶媒100 % にしても溶出が遅い場合には、より溶出力の強い溶媒を使うという方法もあり、メタノールやアセトニトリルの代わりに2-プロパノールやテトラヒドロフランを使うことで溶出を早めることができるケースもあります。
流量を増やす
流量を増やすと溶出が早くなり、分析時間を短縮することができます。
この場合、圧力が高くなる点とカラムの最適流量から外れる可能性がある点には注意が必要です。(カラムの推奨最大圧力については「カラムの寿命を長くするために…」 を、最適流量については「良好なピーク形状を得るために…」の図1-4 を参照してください。)
炭素量や表面積の数値が小さい充填剤のカラムを使用する
保持を強くしたい場合とは逆で、炭素量や表面積の小さいカラムを使うと、保持を弱めることができます。
詳しくは「炭素量の大きなカラムを使用する」をご参照ください。
C8 やC4 のカラムを使用する
ODS 基よりもアルキル基の短いC8 やC4 のカラムを使用した場合も、保持を弱めることができます。詳しくはInertSustain C8などを参照してください。
カラム長さを短くする
カラムを短くすると容積が小さくなるので、カラムからの溶出が早くなります。
しかし、保持や分離のための相互作用の場も少なくなるので、分離性能が悪くなる点には注意が必要です。
カラムを2本用意してスイッチングシステムを構築する
プレカラムとして分析カラムと同じ種類で長さのみ短いものを使うことで、後から溶出する夾雑成分が分析カラムに保持されるのを防ぐことができます。
ポンプやスイッチングバルブを新たに用意する必要はありますが、特にルーチン分析において目的成分の後に夾雑成分が多く溶出して分析時間が長くなってしまうケースにおいては非常に有効な方法です。
5. 感度を改善させたい場合は…
HPLC における検出感度は、検出器の種類によって大きく変わります。しかし、その一方で、その他の要因が影響することもあります。
ここでは、感度を改善させるための方法について紹介いたします。
注入量を増やす
注入量を増やすと検出器に到達する目的成分の絶対量が増えるため、感度が上がります。
ただし、試料溶媒によってはピーク形状が悪化するので、注意が必要です(「良好なピーク形状を得るために…」の図1-9 も併せて参照してください)。
バックグラウンドノイズを小さくする
目的成分のピークが検出される時間付近のバックグラウンドの値が高いと、ベースラインのノイズが大きくなるので低濃度領域での定量が困難になります。
逆に、バックグラウンドの値がなるべく低くなるようなHPLC 条件を設定することができれば、ある程度感度を改善させることができます。
UV 検出器の場合
特に低波長領域において、緩衝液に用いる塩の種類によってはUV 吸収を示すものがあります。
例えば210 nmであれば、この波長でUV 吸収を示す酢酸やギ酸で緩衝液を作った場合よりも、ほとんどUV 吸収を示さないリン酸塩等で緩衝液を作った場合の方が検出感度が高いです。
同様の現象は有機溶媒でも見られますので、有機溶媒の種類やグレードにも気をつける必要があります。(「HPLCで使用する有機溶媒について」 も参照してください。)
蛍光検出器の場合
励起光の波長(Ex)と検出波長(Em)が近い場合、溶離液のラマン散乱光も検出されることがあります。
これにより、バックグラウンドの値が上昇し、ベースラインのノイズが大きくなることもあります。
質量分析計(MS)の場合
溶離液中に揮発しにくい溶媒や塩が多く含まれている場合、イオン化効率が低下して検出感度が悪くなります。
そこで、塩濃度が低くても良好なピーク形状が得られるようなカラムを使ったり、目的成分がカラムから溶出する時点において溶離液中のメタノールやアセトニトリルの濃度がなるべく高くなるような分離モードを選択したりすることで、検出感度を改善することができます。
また、イオン源に汚れが蓄積している場合にも感度が悪化しますので、定期的にメンテナンスを行うことをお薦め致します。
検出器のレスポンスを変更する
多くの検出器では、レスポンスという値を設定することができます。
この値を小さくすると鋭いピークを正確に検出することができる反面、バックグラウンドにおける電気ノイズも大きくなってしまいます。逆にレスポンスの値を大きくすると、ノイズが小さくなる一方で、幅の狭いピークも小さくなってしまいます。適切な
レスポンスの値を選択することで、検出感度をある程度改善させることができます。
試料容器への吸着を減らす
目的成分がバイアル等の試料容器の内壁に吸着すると、注入する前の時点で試料濃度が低下し、検出器に到達する目的成分の絶対量が低下します。
ガラスはシラノール基が相互作用を示すために塩基性成分を吸着させ、一方でプラスチックは疎水性成分を吸着させますので、目的に応じて適切な材質の試料容器を選択する必要があります。
6. カラムの寿命を長くするために…
HPLC のカラムは消耗品ですが、測定条件や保管方法によって使用できる期間は変わってきます。
ここでは、カラムを劣化させる要因とその対処方法をご紹介します。
パターン1:カラムに汚れが蓄積してしまう
カラムに汚れが蓄積すると、ピーク形状が悪化します。
このような場合には、まずはカラムの洗浄を試みてください。
例えば逆相カラムであれば、右のフローチャートに従って洗浄します。洗浄の工程ではアセトニトリルやメタノールを流すのが一般的ですが、それでも汚れが充分に取れない場合には、2-プロパノールや酸を含んだ有機溶媒で洗浄することで汚れがとれるケースもあります。
汚れが蓄積しやすい場合には、ガードカラムを使用することをお薦めします。詳細は「ガードカラムの選び方」を参照してください。
また、固相抽出などの前処理により試料中のマトリックスを除去した方が良い場合もあります。なお、エンドキャップが不充分なカラムを使う際には、汚れが蓄積しやすい傾向にあるので特にご注意ください。
パターン2:カラムのフィルターがつまる
カラム内部には充填剤粒子が漏出しないためのフィルターが入っていますが、試料溶液や溶離液の中に不溶物が含まれていた場合にはこのフィルターがつまってしまうことがあります。
この時、カラムの圧力が少しずつ上昇し、最終的には圧力が高すぎて送液が困難になります。このような現象が見られた場合には、サンプル溶液もしくは溶離液をろ過してから測定を行うようにしてください。
また、ガードカラムを使うことによって分析カラムを保護することもできます。
なお、一般的に粒子径の大きいカラムになるほどフィルターのメッシュは大きくなりますので、フィルターがつまる可能性が想定される場合には粒子径が大きめのカラムを選ぶという方法もあります。
パターン3:修飾されている官能基が切れてしまう
高濃度の酸やアルカリが含まれている溶液をカラムに流すと少しずつ保持時間が短くなることがあります。
このような現象が見られた場合には、充填剤粒子の表面に修飾されている官能基が切れていることが原因として考えられます。
一度切れた官能基を元に戻す方法はありませんので、各カラムの使用可能なpH 範囲や温度を守るように心掛けてください。
また、この現象はカラムを使わずに保管している間に起こる場合もありますので、長期にわたって保管する場合には酸やアルカリなどを含まない有機溶媒に置換してから栓をして保管することをお薦めします。
パターン4:充填剤の基材が変質してしまう
流す溶媒によっては充填剤の基材が変質することがあります。
例えばシリカゲルが母体のカラムであれば、アルカリ性の条件下で加水分解により徐々に溶けてしまいます。
また、ポリマーが母体のカラムであれば、材質と流す溶媒の種類によっては膨潤が起こります。こういったことが起こりますと、一般的にカラムの圧力が上昇し、理論段数も低下します。
充填剤が一度変質してしまうと元に戻すことはできませんので、このような現象を未然に防ぐために各カラムの使用可能なpH範囲などを守るようにしてください。
また、一般的には充填剤表面の疎水性が高いカラムの方がシリカゲルの加水分解が起こりにくい傾向にあるので、アルカリ性の条件で分析を行う時にはC8 カラムよりはODS カラム、ODS カラムの中でも比較的炭素量の多いカラムを使った方が長く使える可能性が高いです。
パターン5:充填状態が変化してしまう
カラムに使用可能な値を超える圧力がかかった場合や急激な圧力変動がかかった場合には、カラム内の粒子の充填状態が変化することがあります。
充填状態に異常が生じるとカラム中での溶離液の流れ方が変わり、ピークの形状が悪くなったり理論段数が低下したりします。
充填状態が変化してしまう現象への対策の1つとして、耐圧に余裕のある状態で使用するという方法もあります。例えば、同じ粒子径で同じサイズのODS カラムを使用した場合でもカラムの種類によって圧力は異なりますが、なるべく圧力の低いカラムを選ぶことにより、何らかのトラブルが生じた時に耐圧を超えてカラムが劣化してしまう可能性を低くすることができます。
分析カラム | 粒子径 | 推奨最大圧力(MPa) |
InertSustain シリーズ、InertSustainSwift シリーズ、 Inertsil シリーズ |
1.9 μm 、 2 μm | 80 |
InertSustain シリーズ、 InertSustainSwift シリーズ、 Inertsil シリーズ |
3 μm HP | 50 |
InertSustain シリーズ、 InertSustainSwift シリーズ、 Inertsil シリーズ、 Titansphere |
3 ~ 10 μm | 20 |
InertCore Plus C18(内径2.1mm) | 2.6 μm | 100 |
InertCore Plus C18(内径3.0mm、内径4.6mm) | 2.6 μm | 60 |
InertSphere Sugar-1 | 5 μm | 15 |
キャピラリーEX カラム | 3 μm 、 5 μm | 20 |
キャピラリーEX - Nano カラム | 3 μm 、 5 μm | 15 |
ガードカラムの推奨最大圧力
ガードカラム | 推奨最大圧力(MPa) |
ガードカラム for UHPLC | 80 |
カートリッジガードカラムE、カートリッジガードカラムEi、GL カート、 プレクリーンORG、PREP ガードカートリッジ |
20 |
充填ガードカラム、充填ミニガードカラム、キャピラリーマイクロガード、 分取ガードカラム |
20 |