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分析例

エステル

油脂の分析として、トリグリセリドの形で直接分析する方法、エステル交換により、脂肪酸のメチルエステルとして分析する方法がとられます。油脂を直接トリグリセリドの形で分析する場合は、ヘキサンなどの溶媒に溶かし、直接GC に注入します。また牛酪脂のように、炭素
鎖長範囲が広いものは、TLC で展開し、短鎖長、中鎖長、長鎖長の各トリグリセリドの区分に分別・抽出して、区分ごとに分析します。充填剤は無極性で、最高使用温度の高い液相を使い、コーティング濃度を低くし、短いカラムを使います。吸着は特に考えられず、分析温度を高くするため、ステンレスカラムの方が使用しやすくなります。また理論段数を得るため、担体は細かいメッシュのものを使用し、カラム内径2 mm のカラムがよく使用されます。Fig.2 は、OV-1 によるバターのトリグリセリドの分析データです。
次に油脂をエステル交換により、脂肪酸のメチルエステルとして分析する方法があります。一般に、三フッ化ホウ素‐メタノール法、硫酸‐メタノール法、ナトリウムメトキシド法の3 種がありますが、三フッ化ホウ素‐メタノール法が、もっともよく使用されます。
まず油脂を、水酸化ナトリウム‐メタノール溶液中で加熱してケン化し、不ケン化物を取り除きます。ケン化物に対して、14 % 三フッ化ホウ素‐メタノール溶液を加え、湯浴上で加熱還流して反応させます。反応が終了すると、メタノール層の上にエステル層ができます。冷却後、石油エーテルと水を加えてよく撹拌し、静置して抽出したエーテル層をGC に注入し分析します。
メチルエステルを濃縮するときには、未反応物を完全に除去するためエーテル層を水洗し、水層が酸性を示さなくなるまで繰り返してから、エーテル層を濃縮します。カラム保護のためにも、洗浄操作は必ず行なった方がよいようです。