ヘリウムガス対策

ヘリウムガス対策
Na~Cl範囲の軽元素のXRF分析において最高感度を達成するために、測定雰囲気を真空またはヘリウムにする方法があります。一般的に、試料が固体の場合は真空を、粉体や液体の場合はヘリウムを選択します。現在、世界的なヘリウム不足が繰り返されており、粉体や液体の軽元素分析にとって困難な状況が続いています。

エネルギー分散型蛍光X線分析装置の多くのアプリケーションでは、窒素をパージガスとして代用し装置を操作することが可能です。また、分析性能に多少の妥協はあっても、大気雰囲気で分析を行うこともできます。
粉体および液体試料中のNa~Cl範囲の軽元素をより高感度に分析するために、ブラッグ偏光励起を特長とするSPECTRO XEPOS C、P、HEを利用することが可能です。他の多くのEDXRF装置は、軽元素の励起にダイレクト励起を採用しており、ブラッグ偏光励起と比較すると感度が低くなっています。XEPOSのモデルでいえば、ダイレクト励起を用いるSPECTRO XEPOS Dがより近い性能を発揮するでしょう。

ヘリウムが使用できない中でも、粉体や液体の測定においてSPECTRO XEPOS C、P、HEは軽元素に対して良好な感度を提供します。図1にヘリウムパージ時のSPECTRO XEPOS C 正規化強度とSPECTRO XEPOS Dの比較を示します。揮発性の試料を分析する場合は、大気の代わりに窒素パージを選択する必要があります。これは、
気化したガスを除去するためのパージガスとして窒素を利用するためです。

図1:ヘリウムパージ時のSPECTRO XEPOS C正規化強度とその他条件での強度比較
1. SPECTRO XEPOS Cは、ダイレクト励起装置(ここではSPECTRO XEPOS D)に比べ、窒素および
大気雰囲気において、硫黄含有量の分析で高い感度を達成できることがわかります。
2. SPECTRO XEPOS Cでは、窒素パージや大雰囲気であってもアルミニウムまで
(高濃度ではマグネシウムまで)の元素分析が可能であることがわかります。
なお、再現精度の低下に対する影響については、測定時間を長くすることで少なくとも部分的に補うことが
可能です。
検出下限への影響
ヘリウムと比較し強度が低くなるため、検出下限への影響もあります。これは、正規化強度から推定することができます。次の図2および図3は、SPECTRO XEPOS Cを用いたオイル試料の分析における検出下限への影響を
示しています。

図2:ヘリウムパージの代わりに窒素パージまたは大気雰囲気を使用した場合のオイル中検出下限[mg/kg]に対する影響

図3:ヘリウムパージの代わりに窒素パージまたは大気雰囲気を使用した場合のオイル中検出下限[mg/kg]に対する影響
