ガスクロマトグラフィー(GC)の基礎
Ⅲ章-7 ディスクリミネーションについて
シリンジ内のディスクリミネーションとは、低沸点成分から高沸点成分まで入っている混合試料をガスクロマトグラフで分析する際に起こる組成変化の減少をいいます。試料をシリンジで採取し、ガスクロマトグラフへ注入する際に、ディスクリミネーションが起こると低沸点成分はカラムへ導入されやすく、高沸点成分は導入されにくくなります。結果として、下図のように、前半のピークは大きく、後半になるに従いピークは小さくなってしまいます。非常に沸点の高い成分はカラムに導入されずピークが出ない場合もあります。
試料導入時
シリンジのプランジャーを下ろした分の試料は注入口に導入されますが、注入後、ニードルに残った試料は、注入口の熱により気化します。
このときに、低沸点成分のみが気化し、高沸点成分はニードルに残ってしまう現象が起こります。
改善方法
ディスクリミネーションは、オンカラム注入法や温度プログラム気化法(PTV法)のように、注入口を低温に保つことができる注入方法で改善することができます。スプリット注入法やスプリットレス注入法のように、注入口の温度が常に高い場合は、オートサンプラーによる高速注入により軽減することが可能です。また、下記のような注入方法により軽減できる場合もあります。
エアーサンドイッチホットニードル法
空気でシリンジ内の試料を挟み込みます。
ホットニードル法
試料吸引後にエアーを吸い込み、注入口でニードルを充分加熱した後、試料を打ち込みます。
ソルベントフラッシュ法
溶媒を始めに吸引し、空気でシリンジ内の試料を挟み込みます。注入時に、始めに吸引した溶媒でニードル内の残留物を排出します。