化学物質評価研究機構製カラム
L-columnシリーズについて
充填剤粒子径の特徴と選択
充填剤の粒子径は5μmが主流ですが、高分離、分析時間短縮及び有機溶媒使用量の削減を目的として3μmや2μmの要望が多くなりました。
ノンコートタイプ
理論段数は粒子径に反比例します(Table 1)。
Fig.1はタンパク質を酵素分解したペプチドの分析です。ピーク高さが高く、検出ピーク数が多いほど元のタンパク質の同定が確実になります。
トリプシン分解物の分析では、5μmカラムは56ピークが検出されたことに対し、2μmカラムでは、1.5倍の86ピークが検出されました。高理論段数により、分離度及びピークの高さが大きく向上しています。
粒子径と移動相流速
理論段数は移動相流速の影響を受けます。
Fig.2 は各粒子径のvan Deemter プロットです。理論段高が小さいほど、より高理論段数となります。
内径2.1 mmにおいて、5μmカラムでは、0.2~0.4 mL/minで最大理論段数が得られ、2μmカラムでは0.4~0.8 mL/minで最大理論段数が得られます。このように粒子径が小さいほど、流速を早くしたときの理論段数の低下が小さいので、2μmカラムは高流速での使用に適しています。
カラム圧力
粒子径が小さくなると、カラム圧力が高くなります(Table 1)。
Fig.3 では、粒子径ごとに、有機溶媒比率とカラム圧力をプロットしました。メタノール比率が50%付近でカラム圧力は最大になります。
分析時間の短縮(超高速分析)
カラム長さを短くすれば分析時間の短縮が可能です。理論段数はカラム長さに比例するので、5μmカラムから粒子径をより小さくしたとき、同等の分離能を得るには、以下のようなカラム長さの選択が一般的です。
5μm,250 mm L. → 3μm,150 mm L.
→ 2μm,100 mm L.
5μm,150 mm L → 3μm,100 mm L.
→ 2μm,75 mm L.
Fig.4は粒子径とカラム長さを変えて分析時間短縮を行なった例です。粒子径が小さければ高流速にしても理論段数の低下は小さいので大幅な分析時間の短縮が可能です。
分離の向上
粒子径を小さくすると理論段数は高くなるので、分離度は大きくなります。5μmカラムの分離度を1(ピークの裾が2%程度重なる状態)とすると、以下のようになります。
5μmカラムの分離度が1のとき → 3μmカラムへ移行した場合、分離度は約1.3
→ 2μmカラムへ移行した場合、分離度は約1.6
分離度1.5以上でほぼ完全分離している状態です。同じカラムサイズならば、粒子径を小さくすることで、分離の改善が期待できます。