野村化学社製カラム
メタルフリーカラム
近年、ペプチドやたんぱく質の分析のみならず、あらゆる分野においてメタルフリーカラムが⼤変注⽬されています。このメタルフリーカラムは⾦属との接触を回避することにより吸着を防ぎ、ストレートに化合物を溶出させることが可能となるため、リン酸基、⾦属配位などの化合物に⼤きな効果があります。
従来より、これらの化合物はステンレス製カラムを⽤いて、リン酸系緩衝液のメソッドによって分析されてきましたが、メタルフリーカラムの使⽤によりギ酸系緩衝液でのメソッド構築が可能で、LC/MSへの導⼊も容易となります。
■ハードウェアの違い
メタルフリーカラムは、ステンレス管の中にPEEKチューブが内蔵されていることにより、1.6µm粒⼦径などのUHPLCカラムの⾼圧下に
おいても⾼い耐久性を⽰します。
また、フリットにもPEEK製を採⽤しているためカラム⾃体は⾦属部と接することはありません。
フラビンモノヌクレオチドの分析
フラビンモノヌクレオチドはリボフラビンにリン酸基が結合した化合物です。
ステンレスカラムではテーリングが⽬⽴ちますが、メタルフリーに変更することで
ピーク形状の改善、これに関連してピーク⾼さもアップします。
アデノシン⼀リン酸(AMP)、⼆リン酸(ADP)、三リン酸(ATP)の分析
同⼀条件下において、カラム材質の違いによる影響を⽐較しました。
AMP、ADP、ATPはリン酸基を含有する化合物で、⾦属への吸着が懸念されています。
ステンレスカラムでは、ADPおよびATPは未検出で、AMPはブロードピークとして溶出されて
いますが、カラム材質をメタルフリーに変更することで全てのピークはシャープに溶出されています。
このように⾦属の影響を受けやすい化合物はメタルフリーカラムを⽤いることにより、劇的な変化を遂げます。
※AMP,ADP,ATPはリン酸緩衝液を移動相にすることで
ステンレスカラムでもシャープなピークを得ることができます。
dNTP(デオキシヌクレオシド三リン酸)の分析
さらなるピーク形状の改善
材質の変更だけでは完全なメタルフリー化にはなりません。
⾦属が影響するのはカラムだけではなく、試料が通る配管やオートサンプラーニードルなど
細部にも徹底する必要があります。上図のクロマトは補助剤の有無による⽐較をしたものです。
システムはバイオイナートではなく通常のシステムを使⽤しています。
メタルフリーカラムで良好な結果は得られていますが、補助剤を添加することでよりシャープな
ピークを得ることができています。
また、バイオイナートLCの導⼊など、さらなる改善⽅法はありますが、
⼤前提として、⾦属不純物の少ない充填剤を選択する必要があります。